日本ってドラッグラグやドラッグロスがなぁ・・・と感じていたら、なんと、欧米で承認されるよりも早く、日本で承認された抗がん剤を発見!
2024年3月に承認されたトルカプ錠です。
今回はトルカプ錠の承認状況、作用機序、臨床効果についてご紹介します。
トルカプ錠の承認について
トルカプ錠は米国FDAで2023年11月に承認された乳がんに使用できる抗がん剤で、日本ではその4ヵ月後に承認されましたが、欧州EURO、イギリスNICEではまだ承認されていません。(2024.3月現在)
トルカプ錠ってどんな抗がん剤?
それでは、トルカプ錠について簡潔に解説します。
トルカプ錠は一般名をCapivasertib(カピバセルチブ)という抗がん剤です。
カピバセルチブは乳がんに対して効果のある抗がん剤で、がん細胞を攻撃する新しい薬です。
この薬は、がん細胞が過剰に成長し、蔓延するのを防ぐことができます。
がん細胞と健康な細胞との違い
まず、がん細胞とは何かを理解するために、健康な細胞との違いを考えてみましょう。通常、私たちの体の細胞は一定のルールに従って成長し、分裂し、老廃物として死にます。
しかし、がん細胞はこのルールを無視し、異常な速度で成長し、周囲の健康な組織を侵略します。
カピバセルチブの働き
カピバセルチブはAKTに働きかけて、がん細胞が過剰に成長するのを阻害します。
AKTとはがん細胞内のたんぱく質で、がん細胞が成長し、分裂するために必要なシグナルを送っています。
カピバセルチブはAKTの働きをブロックすることで、がん細胞が成長を止めるのを助けることができます。
カピバセルチブの臨床試験
臨床試験では、カピバセルチブががん細胞の成長を抑制し、腫瘍のサイズを減少させることが示されました。
これは、カピバセルチブが有望ながん治療薬であることを示しています。
ただし、カピバセルチブには副作用があります。
この薬を使用することで、発疹や下痢などの身体的な不快感が引き起こされる可能性があります。
参考:第Ⅲ相CAPItello-291試験、The New England Journal of Medicine
トルカプ錠の承認についての疑問
米国FDAにおける承認が、次のような状況なのはよくあるお話。
- 優先審査指定での承認
- PFS(無増悪生存期間)は有意差あり
- OS(全生存期間)のデータは今のところ有望、引き続き評価する
ただ、これに厚生労働省が乗っかって承認したのがとても不思議で仕方ない。
国内で早期承認するため、早くも初期治験を廃止する動きとなったのでしょうか。
日本って一度承認されてしまうと決して覆されないので(イメージですが)、慎重になって欲しいものです。
↓こちらの記事でFDAの承認が覆された抗がん剤について紹介しています。